一級建築士試験

建築士の製図独学に向いている人・いない人

一級建築士試験の話。

今回は、製図試験の独学に関して、「こういう人は独学に向いている」という話をしようと思います。

先に断っておきますけど、これは完全に筆者の主観の話ですので、内容が正しいという保証は全くしません。

むしろ、主観的ゆえに偏りまくった意見です。ただ、筆者の実体験を元に話をしますので、偏っていても説得力はあるかと思います。予めご了承ください。

これから独学を検討している方の参考になるといいなーと思って書いています。よろしくお願いします。

いつも同じことを言いますけど、筆者は製図独学を積極的にはオススメしません。合格したいなら学校に通うのが早道です。ただ、この記事まで辿り着いた方の大半はもう独学に心が傾いているでしょうから、引き留めるのはホドホドにしつつ、筆者の体験や考えをお伝えする主旨です。

 

製図試験独学には才能が関係してくる

いきなり挑戦的なことから言います。

建築士の製図独学には向き・不向きがあります。

ハッキリ言えば、製図独学には受かりやすい人受かりにくい人がいるのです。

もっとハッキリ言えば、製図独学には才能の差が出るというわけです。

才能って言葉は刺激的ですけど、でも一番簡単な表現なので使うことにします。

ここから先は、筆者が思う「製図独学の才能」の内訳を説明します。

 

筆者は製図試験を独学で突破していますから、少なくとも筆者は「製図独学の才能がある人」です。なので、これから話す内訳は筆者の自己紹介みたいな内容でもあります。筆者みたいな少数の例を一般化して話すのはホントは良くないのですが、一部でも参考になる点はあると思うので、とりあえず記事にするのです。

誤解が無いように補足しますけど、今から語るのは「建築士の製図試験に独学で受かるための才能」であって、「建築の才能」とは全く別物だと思ってください。筆者は、建築士試験と建築の実務はほとんど別物だと思っています。

 

製図試験独学の才能があるのはこんな人

筆者が思う「製図独学の才能がある人」はこんな人です。

◆製図独学の才能がある人◆

国語力がある

論理的思考ができる

勉強時間を確保できる

・自分で情報収集できる

胆力がある

 

筆者としては、上の特長に全部当てはまるような人は独学を試みても良いと思います。

逆に言えば、あまり当てはまらない人には独学は厳しいと思います。

 

国語力がある

国語力は独学合格の必須要件です。

筆者は強くそう思います。

以下の2点で国語力が必須だからです。

  1. 問題文を読み取る(読解力)
  2. 計画の要点を記述する(文章力)

 

読解力が乏しいと「そもそも問題を読み違える」ので、勝負の土俵にすら立てないことになります。製図の綺麗さがどうとか、作図スピードがどうとか、そんなこと言ってる場合じゃないのです。

文章力が乏しいと計画の要点で必要以上に時間を取られますし、不要な減点を食らうでしょうから、やはり製図以前の問題になります。

そして、ここが筆者の一番言いたいところなんですけど、読解力や文章力って今までの人生で身についているか・いないかの差が露骨に出るものだと思うのです。

つまり、単純に「読書量が多い」とか「文法を意識しながら日記を書いていた」とか、そういう日々の積み重ねが力量の差になるのであって、「建築士試験のために今から読解力と文章力を鍛えます」とかいう感じだと既に周回遅れの状態なので、独学だと差が開く一方だと思うのです。

従って、国語力が乏しい人は学校に通って効率良く勉強をすべきだと思います。反面、国語力がある人は独学を志してもいいと思います。

国語力は露骨に差が付く⇒自信が無い人は学校へ

自分の国語力を確認する方法

まずは試験の過去問を読んでみて、やってみて、問題文の読み違い記述での引っかかりが無いかを自分で確認してください。

そういうミスがほとんどなくて、「全然読めるし書けるけど?」と言える方は国語力があると判断していいと思います。

また、センター試験とかで「理系なのに現代文が得意だった」ような方は国語力が高いと思います。(筆者がそうでした)

製図試験と国語力の関係についてはまだまだ思うところがあるので、いつか別の記事で書き散らかそうと思います。

 

論理的思考ができる

「製図試験はパズルみたいなものだ」という意見があります。

実際、エスキスの中盤で配置計画なんかをガチャガチャやるのはパズルみたいな作業です。

ジグソーパズルみたいな単純なパズルじゃなくて、いろいろ条件がついた論理パズルに近いと感じます。複数の条件をトライ&エラーで調整していく過程が非常に似ていると思います。

そして、論理パズル的なこの過程もまた得手・不得手が露骨に出る部分だと思います。

得意な人がサクサクと正解を組み立てる一方、苦手な人は時間を浪費した上に失敗してしまう。そんな差が付く部分だと思います。

というわけで、そういう論理パズル的な要素が元々得意な人は製図独学でも健闘できると思います。それが苦手な方は学校でシステマティックな手順を習うべきだと思います。

論理的思考も露骨に差が付く⇒得意なら独学でも勝算

自分の論理的思考力を確認する方法

自分が論理パズルが得意かどうか分からない…という方は、公務員試験の一般知能の問題をやってみてください。これが得意な人は論理パズルが得意な人だと言えると思います。

 

勉強時間を確保できる

勉強時間を確保できる。

これも才能の一種だと思います。

前の記事でも言いましたけど、製図試験の勉強は最低でも数時間単位なので、まとまった時間の確保が必須です。独学の場合、その時間を自分で確保しなければいけません。

家族の協力・職場の理解などをどこまで得られるか。独学に踏み切る前に確認しておくことが大事です。

また、まとまった勉強時間というと試験直前の追い込み期だけに焦点が行きがちですが、普段の平日休日にも勉強時間をしっかり確保しておきましょう。

ここが問題なくクリアできるようでないと、製図独学は厳しいと言わざるを得ません。

勉強時間⇒日常的に長時間を確保すべき

 

自分で情報収集できる

これまた何度も言いますけど、製図試験はただでさえ情報が少ないです。

製図試験は3ヶ月の短期決戦(※)ですから、学校組と独学組の間には絶対に情報格差が生まれます。

※製図試験のテーマ発表から製図試験までは3ヶ月弱しかありません。

例えば、学校に通っていると「今年は勾配定規は必要ないだろう」とか「配置図が単独で要求される可能性は無いだろう」とか、今年のテーマから解釈できる情報が早期に確実に手に入ります。

また、学校の場合、新要素(過去問で対応できない事柄)への対策もバッチリやってくれます。杭基礎が要求されそうなら杭基礎を、特定天井が要求されそうなら特定天井を、それぞれ時間をかけて講義してくれます。

ところが、独学組にはそういう情報が一切入りません。自分からネットで収集する、無料講義に参加する、通学組の友人から聞く等、かなり自主的な行動が求められます。そういう行動が苦手な方は独学に向いていないと言えるでしょう。

製図は短期決戦⇒情報格差を埋める努力を

今このページを読んでいる方はまさに「自分で情報収集している」最中ですから、そういう意味では一歩リードというか、見込みがあるかもしれません。

 

胆力がある

製図独学は不安との戦いです。

もうとにかく孤独で情報も無いので、勉強しても勉強しても不安が拭えません。

そもそも採点基準すら不明瞭なんですから、どんなに対策しても合格する保証は得られません。自分がどこにいるのかすら分からないのが常です。

独学だと周りに相談できる人も少ないでしょうから、「自分には何か致命的な無知があるんじゃないか」みたいな漠然とした不安が最後まで付きまとってきます。完璧な準備は無理なのです。独学の運命です。

というわけで、適当なタイミングで「これだけやってるんだから何とかなるっしょ」と開き直ることも大切になってきます。っていうか、開き直らないと潰れてしまうと思います。そういう胆力がある人は、独学でも戦えるでしょう。

独学で完璧は無理⇒ある程度の開き直りも重要

 

補足:製図力はあまり関係ない

大事なことを1点補足しておきます。

筆者は、製図力がなくても独学での合格は可能だと思っています。

つまり、勉強を始めた時点で図面の書き方を全然知らなくても、それは独学で追いつける話だと思っています。筆者がそうだったからです。

独学をするにあたり、国語力は必須なのに製図力は不要というのは変に感じられるかもしれません。

でもこれは、筆者の経験から確信を持って言うことなのです。国語力の差は容易には埋まりませんけど、製図力は独学でも3ヶ月で合格ラインに届くのです。そういうもんなのです。

というか、一級建築士試験で求められる製図力って実はそこまで高くないです。綺麗な図面を描けなくても合格できる試験なので、勉強を始めた時点で綺麗な図面を描ける必要は全くありません。製図力が元々あることはもちろん武器にはなりますけど、必須要件ではないのです。

これについては、こんど筆者の再現図を公開して説明しようと思っています。

 

まとめ:自信がなければ学校へ

いかがだったでしょうか。

筆者が思う製図独学で勝てる人の像を説明してみました。

繰り返しますけど、筆者の偏見が大いに入っている記事なので、あくまでも参考として捉えてください。この内容に当てはまらなくても独学で受かる人はいると思います。筆者的には厳しいと思いますけど。そういう話です。

最後に、もう一つ筆者の思うことを言います。

もし、独学を考えていたのにこの記事を読んで意気消沈してしまった方がいたら、たぶん本当に独学には向いていないので、学校に通った方がいいと思います。(辛辣な書き方で意気消沈させてしまったことは申し訳ないです。)

逆に、この記事を読んで「あー自分ならいけそうだな」とか「国語力は無いけどやったるぞ!」とか「お前の意見なんか全然正しくねえんだよ。私は独学するんだ」とか思った人は、筆者的には独学に向いていると思うので、自己責任で頑張ってもいいと思います。

取り留めのない記事ですが、取り急ぎここまでにします。ありがとうございました。