住宅

建売住宅vs注文住宅~両者の違いを整理する~

戸建住宅を買うとき、みなさんは建売住宅注文住宅の2択で悩むことになるでしょう。

まず言いますと、これは「どちらの方が優れている」というような単純な話ではありません。建売には建売の良さが、注文には注文の良さがあるものです。

なので、建売住宅と注文住宅のどちらを選ぶべきかというのは、それはもうあなたの価値観によります。両者のメリットデメリットを確認し、あなた自身の価値観に照らして判断することが、満足いく買い物への第一歩となることでしょう。

そこで本記事では、建売と注文、両者の違いを解説します。なるべく建築士らしい視点からも案内したいと思います。皆さんの判断の一助になればいいなと思って書いています。よろしくお願いします。

先に申し上げますと、筆者自身はどちらかというと注文住宅派です。本記事ではなるべくフェアな観点から両者を比較したいと思いますけど、ところどころでバイアスがかかった表現が出てしまうかもしれません。予めご了承ください。

建売と注文の違い

まずは建売住宅と注文住宅の違いを説明しましょう。

建売住宅と注文住宅の大きな違いは設計の自由度全体的な品質、そして価格です。

注文住宅の方が自由度も品質も高く、そして価格も高いです。

建売住宅 注文住宅
設計自由度 低い 高い
全体的な品質 低い 高い
価格 安い 高い

具体的に説明します。

設計自由度の違い

当たり前ですけど、建売住宅は設計の自由度がほとんど無いです。

建売住宅のほとんどは業者が決めた間取りで建築されます。施主はただそれを買うだけです。既に完成したものを買うパターンも多いです。

シュークローゼットが欲しいとか、土間が欲しいとか、そういう要望がある場合は、売りに出ている建売住宅の中から自分の希望に近いモノを探すことになります。希望の間取りが見つからない場合も多々あります。

稀にまだ建っていない(これから建てる)建売住宅で、「今の段階で買ってくれたら間取りを選べますよ!」ってのがありますけど、それだって壁を2つ3つ作るか作らないか決められる程度のもので、”自由設計”とは程遠いパターンが多いです。

一方、注文住宅は設計の自由度が高い場合が多いです。多くの注文住宅が自由設計を謳っており、結構好き勝手に間取りを考えることができます。

2階リビングがいいとか、ルーフバルコニーが欲しいとか、建売ではあまり見られない間取りが欲しい場合、必然的に注文住宅を選ぶことになるでしょう。

大手ハウスメーカーなんかだと、自由設計と言いつつパッケージ化されている商品も多くて、「窓は5つまでしか付けられません」とか「リビング階段にはできません」とかいう制約があったりします。実質セミオーダーになっちゃったりして。これはもう会社によりますね。

全体的な品質の違い

注文住宅っていうと、とにかく「自由設計」というイメージばかりが強いですよね。でも、それ以外の部分でも違いがあります。全体的な品質も注文住宅の方が高いのです。

ケンカタくん
ケンカタくん
これ、意外と知られてないよー

具体的に言うと以下の点が特に違います。

  • 設備のグレード(全館空調、制振装置などは注文住宅特有)
  • 材料のグレード(窓サッシ、木材などの等級は一般的に注文住宅の方が高い)
  • 施工管理のグレード(注文住宅の方が手厚い場合が多い)
  • アフターフォロー(注文住宅の方が手厚い場合が多い)

建売住宅の広告で「注文住宅仕様」という文言を目にすることがあります。これはつまり、建売住宅ですけど設備や材料を注文住宅と同じにしていますよ(高級ですよ)ということです。注文住宅の方が建売住宅より高品質なんですね。

価格の違い

これはもう明らかに注文住宅の方が高いです。

理由は以下のとおり。

  • 建売住宅は土地+建物なので安い
  • 建売住宅は施工に手間がかからない(規格化されている)から安い
  • 注文住宅は土地代が高い
  • 注文住宅は設備や材料が高い
  • 注文住宅は施工に手間がかかる(一品生産だ)から高い

純粋な建物代としても注文住宅の方が高いですし、土地+建物の総額ではさらに差が開く傾向があります。安く買える土地は建売業者が先に買ってしまうので、注文住宅は土地すらも高くつくのです。

大規模な区画分譲の建売住宅なんかだと土地代にもスケールメリットが働きますから、注文住宅では太刀打ちできないぐらい安くなる傾向があります。

どのぐらい価格が違うかっていうと、これはもう完全にケースバイケースなので何とも言えません。土地・会社・仕様によって全然違います。

ただ、筆者が思いつくケースで超適当に話をしてよければ例を挙げます。

建売住宅が土地付2300万円で買えるぐらいのところで、注文住宅だと土地付2800万円~4500万円のオーダーになる。そんな感じです。伝わるでしょうか。

 

まとめ:手軽な建売・重厚な注文

いかがだったでしょうか。

建売住宅と注文住宅の違いをザックリとお示ししました。

端的に言うと、建売住宅は安くて手軽で品質はソコソコ、注文住宅は品質が良い代わりに高コスト、ということになります。

建売住宅…安い・自由度が低い・品質ソコソコ

注文住宅…高い・自由度が高い・高品質

もう1回言いますけど、建売住宅と注文住宅に「どちらの方が良い」という答えはありません。

人によって家にかけられるコストも違うし、間取りへの情熱も違います。住めればいいと思っている人もいれば、長く満足を享受したいと息巻いている人もいます。

大事なのは、建売住宅と注文住宅、両者のメリットとデメリットを明確にし、あなた自身が納得いく選択をすることです。

両者のメリット・デメリットについては以下の記事でさらに詳しく解説します。

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