住宅

建売住宅のメリットデメリット~注文住宅と比較して~

本記事では建売住宅のメリット・デメリットを解説します。

主に注文住宅と比較したときの話をします。

 

大体こんな方↓に読んでいただきたいと思って書いています。

  • 建売住宅を検討中だけどいまいち踏み切れない…
  • 注文住宅を建てたいけど建売の安さも気になる…
  • 自分がどういう家が欲しいのか分からない…

 

建売住宅と注文住宅の違いは建売住宅vs注文住宅に書いてあります。合わせてお読みください。

 

いきなりまとめ:建売のメリットは”手軽さ”

先にまとめから入りましょう。

建売住宅のメリットとデメリットを整理すると以下のようになります。

メリット デメリット
すぐに手に入る 設計自由度が無い
打ち合わせが少ない グレードが低い
格安である 低寿命の可能性が高い
(リセールに有利)  

総じて言えば、建売住宅はコストが低く手軽であることが最大のウリだと言えます。金銭や手間が少なく済むということです。

代わりに、品質は最低限な部分も多いです。最低限っていうとちょっと危ない感じがしますけど、ここでいう最低限ってのは建築基準法とかの法律をクリアする程度に最低限ってことです。なのでもちろん「住めない!」ってことはありません。十分快適に住むことができます。

法が規定する必要十分な暮らしを1番安いコストで獲得する。それが建売住宅の存在意義だと言えます。

建売住宅は低コストで最低限の品質

 

建売住宅のメリット

上で紹介したメリットとデメリットについて細かく見ていきましょう。

まずはメリットからです。

すぐに手に入る
打ち合わせが少ない
格安である
(リセールに有利)

すぐに手に入る

建売住宅の特長はなんといってもスピード感です。

家を買うってとても大きなことです。契約手続きだけでも沢山あります。ローンの審査とか登記とか、時間がかかります。「家欲しいなー」って思ってすぐ手に入るわけではありません。大変な手数と時間が必要なんです。

注文住宅は契約から入居まで4~6ヶ月とかそういう世界です。建築家に頼むと1年かかる場合も!

その点、建売住宅は最小限の手数で家が手に入ります。既に完成している建売を買うなら1ヶ月以内のスピード入居も可能です。

これの何がいいかって、今住んでいるところをすぐに出られる点です。今住んでいるところが賃貸住宅だと、家を契約してから引っ越すまでの間も家賃を払わなくてはなりません。

注文住宅だと4~6ヶ月待つところを建売住宅なら1ヶ月で出られるわけで、3~5ヶ月分の家賃が浮く計算になります。結構な金額ですよね。

 

打ち合わせが少ない

上のメリットに通ずるところがありますが、これも建売住宅の特長です。建売住宅は業者との打ち合わせが少ないです。購入に要する手間が少ないということです。

注文住宅では決めることが沢山あります。間取りとか設備の仕様とか、カーテンレールとか壁紙とか、まあとにかく沢山あります。それだけ沢山の打ち合わせを重ねる必要がありということです。

その点、建売住宅では決めることはほとんどありません。家の仕様が既に決まっているのですから当たり前です。打ち合わせと言えば、支払いの方法がどうだとか、引き渡し日がいつだとか、そういう事務的な内容ぐらいです。多忙な中で家を買う場合、この手軽さはメリットになるでしょう。

打ち合わせが少ないというのは「意見を言う機会が少ない」とも捉えられます。これを時間の節約と見るか、機会の損失と見るかはあなた次第です。

 

格安である

建売住宅の最大のメリットはやはりこれでしょう。さっきも紹介しましたけど、建売住宅はとにかく安いです。

コスパが良いかどうかはさておき、購入時に財布から出ていくお金はもうダントツで建売が安いです。新築建売より安く家を買うなら中古に走るしかありません。価格を第一に考える場合は建売住宅が第一選択になると言えるでしょう。

なぜそんなに安いのか。安い理由はいろいろあります。

土地建物のセット販売だから

建売住宅は土地と建物のセット販売になります。

不動産屋は土地の儲けと建物の儲けをまとめて扱うことができ、その分値引きを多く取ることができます。不動産屋がその気になれば、建物の利益をゼロにして土地の利益だけを取ることもできるわけです。

注文住宅の場合、土地と建物は別々の売り物ですから、土地は不動産屋が、建物は工務店が、それぞれ自分の利益を十分確保しようとします。我々エンドユーザーにとってはその分値引き幅が小さくなるわけです。

また、特に大規模分譲地の場合などは、大きな土地を一気に仕入れて小売りするわけですから、土地代にはかなりのスケールメリットが生じます。注文住宅だとこうはいきませんから、これも建売住宅特有のメリットだと言えます。

規格化されているから

建売住宅は大体同じような作りになっています。

一応、僅かながら差別化のために外壁を変えていたり、シュークローゼットを付けていたり、仕上げを変えていたりしますけど、根本的な作りはほとんどパターン化されています。(メーカーの考え方にもよります)

仕様を規格化することで、材料の無駄が少なくなりますし、職人も施工慣れするので施工手間も削減されます。

必要最低限の仕様だから

建売住宅の多くは必要最低限の仕様で作られています。

さっきも言いましたけど、ここでいう必要最低限とは、建築基準法などの関連法規を満たす程度に最低限という意味です。

具体的に言うと、例えば断熱。建売住宅の断熱性能は法が要求する水準のギリギリを攻めるものが多いです。そうすることで断熱材のコストを下げられますし、工賃も安くすることができるわけです。

法が規定する性能はクリアしているわけですから、人が済むには全く問題ない性能です。

リセールに有利

メリットというほどのものではないんですけど一応。

建売住宅はリセール(売却)に有利です。

というのも、建売住宅はそもそも「万人向けに設計された住宅」だからです。買い手が見つかりやすい間取りなのです。

これが注文住宅だと大変です。注文住宅ってのは「その人専用の住宅」ですから、売りに出すと買い手が見つかりにくいです。不利なんです。

なので、2500万円の建売住宅3500万円の注文住宅がどちらも1400万円で売れました。なんてことはザラにあるわけです。この場合、建売住宅の方が損が少ない(有利)と言えます。

とはいえ、分譲マンションのように「買った価格で売れた」とか「黒字が出た」なんて話はまずあり得ません。投資の対象として建売住宅(というか戸建住宅)を考えるのはナンセンスですし、将来的な売却が予想されるならそもそもマンションを買うべきです。あくまでも、建売住宅と注文住宅なら建売の方が損が少ないという話です。

 

建売住宅のデメリット

次にデメリットのお話をします。

設計自由度が無い
グレードが低い
低寿命の可能性が高い

 

設計自由度が無い

建売住宅には間取りの自由が全くありません。(当たり前)

家があなたに合わせてくれることは無く、あなたが家に合わせるのみなのです。

3SLDKの建売を買うなら、あなたの生活を3SLDKに合わせる必要があります。

多少使いにくい部分があったとしても、使わない部屋があったとしても、それはもうとにかく全部「建売だから仕方ない」の世界なのです。

ちょっと個人的な考えを言います。

建売住宅は「住民が家に合わせる」「家が生活を定義する」というハード優位の考え方です。建築屋としてはこの考え方に反対です。

家は住人あってのものです。設計に住人の生活実態を反映してこそ「ベストな家」ができるのであって、建売住宅みたいな考え方だと必ずどこかで不満が生じると思っています。

ただ、建売住宅は「万人向け」に設計されていますから、そういう不満も我慢できる範囲に収まるので、まあ誤魔化し誤魔化し生活できてしまうのだろうと、そう思っています。

 

グレードが低い

メリットのところで「最低限の品質だから安い」と言いました。これはそのままデメリットでもあります。

もちろん「最低限の品質」でも住むのに不便はありません。法律はちゃんとクリアしているのですから、概ね不満無い生活を送ることができると思います。

ただ、それでも性能が劣っているのは事実でして、そういう差は長いスパンで徐々に影響してくる可能性が高いです。例えば断熱。断熱が悪くて光熱費がかかったり、寒さで体調を崩したり、そういう悪影響が(気付かない程度に微々たる形で)出てくると思われます。

顧客獲得のため、目に見える部分にお金をかける建売も増えています。外壁が綺麗だったり、床暖房が付いていたり、キッチンが人工大理石だったり、浴室乾燥機が付いていたり。

ただそれって、パソコンでいうとケースとかマウスとかにお金をかけているようなものです。肝心のCPUにお金をかけている建売住宅はほとんどありません。

住宅で本当に大事なのは断熱や構造や省エネなんですけど、目に見えない性能をどう評価するかって本当にその人次第なので難しいです。

筆者に言わせれば、他の何かを削ってでも断熱・採光・耐震・設備効率にはお金をかけたい。ただ、壁の中の断熱材に200万円払える人って少ないです。

選択肢としては、法律ギリギリの断熱で安くあげる住宅があってもいいし、北欧並の断熱で高いお金を取る住宅があってもいい。実際今の市場はそうなっています。

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地場のメーカーの建売住宅で「注文住宅仕様」を謳っているものが稀にあります。もちろん高いんですけど、性能も良さそう。

 

低寿命の可能性が高い

断熱とか構造とかの品質が長いスパンで効いてきて、結果的に家の寿命が短くなると予想されます。また、建売住宅は大体アフターフォローが悪い(法律に規定される最低限しか用意が無い)ので、その点も寿命に響くと思われます。

木造住宅の寿命は30~40年と言われていますが、粗悪な建売住宅の場合は30年もすると「我慢しながら住む」レベルになると思っています。

筆者が見た建売住宅で1番驚いたのが、床下の断熱材が引き渡しの時点で剥落していた例。築0年で不具合がある建売住宅が実際にありました。あれを見てしまうと、30年後に快適に暮らしている未来がどうしても想像できない…

一方、これはちょっと極端な例ですけど、大手ハウスメーカーの鉄骨造やRC造だと本当に「100年住めそう」なレベルのものがあります。(定期的なメンテナンスが前提です)

長期的なコスパを考えたとき、建売住宅と注文住宅の価格差は結構簡単に引っくり返る…かもしれません。

ただこれも難しい問題でして、日本には地震があるのです。100年住むことを見越してガッチリ建てた家が地震一発で傾いた…なんて悲劇も否定できないので、地震リスクを見込んで安い建売を構えておく…というのも考え方としてはアリなんです。

筆者は古い家に資産価値が付かないのを地震のせいだと思っていて、もっと言えば空き家問題も地震のせいだと思っています。この話は本筋からは脱線するので、いつか別の機会に書きたいと思います。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

建売住宅のメリットとデメリットについて、筆者の思うところを整理しました。

メリット デメリット
すぐに手に入る 設計自由度が無い
打ち合わせが少ない グレードが低い
格安である 低寿命の可能性が高い
(リセールに有利)  

もう一度言いますけど、建売住宅は安さ・手軽さと引き換えに品質を落としたものです。

とにかく安く、予算内で家を持ちたいという方には第一選択となるでしょう。