住宅

注文住宅のメリットデメリット~建売住宅と比較して~

本記事では注文住宅のメリット・デメリットを解説します。

主に建売住宅と比較したときの話をします。

 

大体こんな方↓に読んでいただきたいと思って書いています。

  • 注文住宅を検討中だけどいまいち踏み切れない…
  • 建売住宅を建てたいけど注文のメリットも気になる…
  • 自分がどういう家が欲しいのか分からない…

 

建売住宅と注文住宅の違いは建売住宅vs注文住宅に書いてあります。合わせてお読みください。

 

いきなりまとめ:注文のメリットは”品質”

先にまとめから入りましょう。

注文住宅のメリットとデメリットを整理すると以下のようになります。

メリット デメリット
設計が自由 高い
品質が良い 手間がかかる
アフターフォローが良い 分かりにくい

端的に言えば、注文住宅は高品質であることが最大のウリだと言えます。あなたの希望に応じた設計ができ、材工の品質も良く、アフターフォローにも優れている。住み手の満足にフォーカスした家づくりなのです。

代わりに、コストは高いです。金銭的なコストはもちろんですが、時間的なコストもかなりかかります。文字通り「手間暇かけて」作り上げるのが注文住宅なので、施主も「お客様」ではいられません。当事者として積極的に金銭と労力を割く姿勢が求められます。

コストをかけて満足を追求する。それが注文住宅の考え方だと言えます。

注文住宅は高コストで高品質

 

注文住宅のメリット

まずはメリットからご紹介します。

設計が自由
品質が良い
アフターフォローが良い

設計が自由

注文住宅の最大の特長はなんといっても自由設計。コレに尽きます。

これは間取りだけの話じゃありません。設備の計画とか、仕上げの素材とか、そういうのをぜーんぶ「その人仕様」にできるのが自由設計です。

あなたの生活に合わせた間取りを考え、無駄な動線や部屋を省き、必要な設備だけを取り入れる、そういう「最適解」を追求できるのが注文住宅の魅力だといえるでしょう。

建築屋として言わせてもらうと、建売住宅みたいに「間取りや設備を自由に考えられない」という方がちょっと有り得ない話です。家族によって生活様式が違うのは当たり前ですから、間取りや設備も家族によって様々なハズなんです。本当はね。

品質が良い

意外と知られていませんけど、注文住宅は材工の品質も優れています。

建売住宅と全く同じ間取りで注文住宅を建てたとしても、材料や設備の面で大きな差が出るのです。

ケンカタくん
ケンカタくん
間取りの自由だけが注文住宅じゃないんだね!

材料の品質

これはもう明らかにレベルが違います。

どんなに安い注文住宅でも、木材から断熱材から何から何まで建売住宅以上のグレードであることは間違いありません。

そもそも建売住宅で「大黒柱にケヤキを使っています」なんて謳うところはほぼありません。暗黙の了解として、安い材料で安く建てています。(建売住宅の営業に聞けば分かります)

材料を気にする人は建売住宅を買ってはならないのです。

材料のグレードは建物寿命や住み心地に影響してきます。良い木材は耐久性や耐蟻性に優れ、質感も良く長持ちします。良い断熱材は家の断熱性を上げ、結露防止やヒートショック防止に役立つことでしょう。

設備の品質

換気設備・キッチン・システムバス・照明など。

これはハウスメーカーによって考え方がまちまちです。

標準装備で全館空調を入れるような設備特化の注文住宅もありますし、要望しない限り最低限の設備しか設けない注文住宅もあります。設備については選択の幅が大きいと思っておきましょう。

施工の品質

これも明らかにレベルが違います。

注文住宅は「施主が施工に立ち会える」わけですから、施工管理も自ずと丁寧になる傾向があります。

そもそも、注文住宅を建てる人の大半は「家のことをよく調べる人」ですから、施工面で悪評が立つとメーカーとしては死活問題になるのです。だから施工不良が無いようになるべく気を付けて施工しますし、瑕疵があったときの対応も良いところが多いです。

建売住宅の場合、あまりよく調べずに家を買ってしまう(家にコダワリが無い)人も多数いるので、施工品質が悪くてもまあなんていうか問題になりにくいのです。

アフターフォローが良い

注文住宅ってのは「信用商売」に近いところがあります。

顧客1人1人にオーダーメイドの高額商品を売る商売ですから、悪評が立つと途端に立ち行かなくなるのです。

「あの会社はアフターフォローしてくれない」なんて言われると本気で会社が傾くので、神経使って対応してくれることが多いです。

注文住宅のデメリット

次にデメリットのお話をします。

高い
手間がかかる
分かりにくい

 

高い

注文住宅は単純に高いです。これはもうデメリットの最たるところです。

建売住宅の上物が30坪で900万円ぐらいだとして、注文住宅は30坪1500万~3000万円の世界です。大体2~3倍違うと思ってください。

土地+建物で住宅を買う場合、建売住宅と注文住宅の間には500万円~の差が生まれます。どんなに切り詰めてもそうなります。

何よりもお金が気になる!という方には、注文住宅をオススメするのは難しいかもしれません。

材料をケチっても高いものは高い

ちなみに、「建売と同じ材料でいいから安く作ってくれ」と言う方がたまにいますが、それだとあまり安くはなりません。(多少は変わりますけど)

建売住宅の材料が安いのは「建売住宅の規格に合わせて大量生産しているから」です。注文住宅は基本的に一品生産なので、材料1つとっても特注に近い性格があります。

ですから、どんな材料でも建売より高い単価になるのが普通です。注文住宅の常として、材料は高くなってしまうのです。

そういう値引きに対応しないハウスメーカーも多いので、材料レベルの交渉をしたいなら工務店や建築家を選ぶと良いです。

ランニングコストが安い場合も

一点補足しますと、注文住宅はランニングコストが安く済む場合があります。

例えば光熱費。高断熱な注文住宅だと、スカスカの建売住宅と比べて年間の冷暖房費がグンと安くなります。

例えば維持修繕費。高品質な材料を使えばその分長持ちしますから、メンテナンス費用が安くなる場合があります。

こうした要素が積み重なると数百万円単位の節約になることも十分考えられ、初期投資を回収できる場合もありそうです。

手間がかかる

注文住宅は打ち合わせが沢山あります。自由設計を謳うところは特にそうです。

家が建つまでの間は結構な時間が家づくりに持っていかれると考えましょう。休日をゆっくり過ごしたい方は負担に感じるかもしれません。

とはいえ、せっかく自由設計の家を建てるならトコトン時間をかけて悩みぬくことをオススメします。

分かりにくい

小難しい概念が多い。これはデメリットです。

注文住宅を設計するときっていろいろな判断を迫られるんですけど、その選択肢が専門的で分かりにくいことが多いのです。

例えば、A社は樹脂サッシ+ペアガラスという窓を推しているけど、B社はアルミサッシ+Low-E複層ガラスという窓を推している。

こんなとき、どちらが優れているかをユーザー側で判断することが難しいです。(上の例だと「窓 種類 断熱性」とかで検索して窓の断熱について勉強しないといけません。ちなみに筆者ならA社を選びます。窓サイズや方角にもよるけど)

結構な勉強量を求められるので、これを億劫に感じる方は多いと思います。

まあこれは注文住宅に限ったことじゃなくて、建売だろうがマンションだろうが「建築は専門的で分かりにくい」んですけど、自由設計の注文住宅では特に問題になりやすいのです。

価格の比較すら難しい

注文住宅は価格を比較することすら難しい傾向があります。

そもそも自由設計の注文住宅なんかだと、コレと決まった仕様がほぼありません。あなたが建てたい家の前例が無いのが当たり前なので、実例から価格を推定することが難しい事情があります。

さらに、ユーザーの希望に応じてオプション代が乗っかってくるので、最終的な支払総額が確定するのは工事が始まってからだったりします。(最初の契約段階の金額がアテにならないことが多い。)

そうなると計画段階では「実例から予想される金額」も「ハッキリした総額」も無いままに業者を選ぶことになりがちです。通常の買い物ではなかなか有り得ないことですが、建築ではそれが普通なのです。

じゃあどうすればいいかというと、SUUMOみたいな総合案内系の業者を使って専門家に相見積もりを取ってもらうしかありません。ただこれも業者のバイアスがかかった情報になってしまいます。

結局、あなたが本当に欲しい家の”定価”は分からないまま終わってしまうのです。

こういうブラックボックスな感じも、注文住宅を面倒くさいと感じる一因になっていると思います。

本当に正確な金額を割り出したい場合、自分で設計して積算するしかありません。

「坪単価」っていう概念がありますけど、これもまあ非常に曖昧なモノです。業者ごとに出し方がバラバラなので、参考にならない場合が多い。

まとめ

いかがだったでしょうか。

注文住宅のメリットとデメリットについて、筆者の思うところを整理しました。

メリット デメリット
設計が自由 高い
品質が良い 手間がかかる
アフターフォローが良い 分かりにくい

もう一度言いますけど、注文住宅は高いコストをかけて高品質を得るものです。

予算に余裕があり、とにかく満足できる家を建てたい!という方には第一選択となるでしょう。