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風呂の残り湯で洗濯~いくら節約?メリットとデメリットは?~

こんにちは。筆者です。

筆者はお風呂の残り湯で洗濯というのが好きです。なんというか、響きが良い。合理的に聞こえます。

どうせ捨てる風呂水で洗濯するのですから、エコだし、節約になるし、とても頭のいい方法ですね。

 

この記事に辿り着いた皆さんが気になるのは残り湯での洗濯はいくらお得なのかってところだと思います。

先に結論から書くと、残り湯洗濯によって年間2000~6000円の節約が見込めます。水道代が高い地域ならもっと行きます。

本記事ではその計算過程を説明しつつ、残り湯洗濯のメリット・デメリットを整理し、コスパ面から評価してみたいと思います。

残り湯洗濯の節約効果

まずは単純に何円の節約になるのかを計算してみましょう。

水道料金や電気料金は地域によって違いますので、あくまでも”一例”としてのご紹介になります。

洗濯機の使用水量

残り湯を使うことで節約できるのは水道代です。

洗濯1回あたりの使用水量はまあ洗濯機の大きさによるのですが、3~4人家族で40Lだと仮定しましょう。

我が家は毎日洗濯をしていますが、洗い1回あたりの使用水量は30~45Lで、平均をとると大体40Lぐらいです。

というわけで、残り湯洗濯1回あたりに節約できる水量を以下のとおり推定します。

残り湯の利用 節水量
洗い 40L
洗い+すすぎ(1回) 80L
洗い+すすぎ(2回) 120L

 

1回あたりの水道代を確認

次は水道料金の話です。

水道料金は地域によってかなり違います。

なるべく一般的な数値を使いたいので、大阪市のホームページから大都市の水道料金の平均値を拝借します。

大都市の水道料金 大阪市のホームページより引用

大都市の水道料金

20㎥(一般家庭の平均使用量)の水道料金は平均2,866円とのことなので、
1リットルあたり0.14円を今回の計算の基準とします。

以下のとおりになります。

残り湯の利用 節水量 水道代
洗い 40L 5.6円
洗い+すすぎ(1回) 80L 11.2円
洗い+すすぎ(2回) 120L 16.8円

 

余談ですが、新潟市の水道代って超高いですね。

 

揚水ポンプの電気代

残り湯で洗濯するときはポンプを動かす必要があります。風呂水を吸い上げる動力です。

水道水で洗濯するときはポンプは要らないですから、ポンプの電気代は残り湯洗濯の時にだけかかる経費ということになります。

ポンプは洗濯機に内蔵されていることが多いですけど、それだとポンプ単体の消費電力が分かりませんので、外付けタイプのポンプで電気代を計算しようと思います。

↓外付けタイプのポンプ。マニュアルからデータを拾いましょう。
https://www.koshin-ltd.jp/data/products/95/customer_manual_1.pdf

消費電力(入力) 27VA
吐出量 10L/分

 

厳密に言うとVAってのは消費電力(W)とは違うんですけど、まあここではVA=消費電力だと思ってください。

吐出量は揚程(水を上げる高低差)によって変わります。
筆者宅の揚程はピッタリ1mでした。

ポンプ揚程

上の条件で行くと、40Lの水を洗濯機に運ぶにはポンプを4分回す必要があります。

コチラの電気料金計算も参考にしまして、ポンプの電気代は大体こんな感じでしょうか。

残り湯の利用 節水量 水道代 ポンプ
運転時間
ポンプ
電気代
洗い 40L 5.6円 4分 0.05円
洗い+すすぎ(1回) 80L 11.2円 8分 0.1円
洗い+すすぎ(2回) 120L 16.8円 12分 0.15円

 

節約できる水道代に対して、ポンプの電気代は微々たるもんですね。

 

残り湯洗濯の節約効果は年間2000円~6000円

まとめると、残り湯洗濯をすると水道料金がちょっと安くなって、電気代がほんのちょっと高くなるのでした。

収支は以下のとおりです。

残り湯の利用 水道代 ポンプ
電気代
収支
(1回)
収支
(1月)
収支
(1年)
洗い 5.6円 0.05円 5.5円 165円 約2000円
洗い+すすぎ(1回) 11.2円 0.1円 11.1円 333円 約4000円
洗い+すすぎ(2回) 16.8円 0.15円 16.6円 498円 約6000円

 

この差を大きいと捉えるか小さいと捉えるかは人それぞれですけど、1年間で2000~6000円ぐらい変わると考えると無視できないかなあとは思います。

amazonプライムの年会費ぐらい出ちゃいますからね。

水道代が高い地域(例えば新潟市)だと節約効果が2倍ぐらいになるので、そうなると完全に実利がありますね。

残り湯洗濯の他のメリット

残り湯洗濯のメリットはお金だけではありませんね。

筆者が考えるメリットを以下にご紹介します。

水の節約でエコに貢献

言うまでもなく、節水にはお金以上の価値があります。エコなのです。

綺麗な水を作るのには電気が使われますし、あなたの家まで水を運ぶのにも電気が使われています。

その電気はCO2を発生させる火力発電から来ているかもしれません。

大きな目で見れば、節水は地球温暖化の抑止にも働くのです。残り湯洗濯の採用はエコに繋がると言い切ってよいでしょう。

メーカーの試算によれば1リットルの節水で1Wの電力節約になるとのこと。

 

汚れがよく落ちる

洗濯にお湯を使うことで汚れが落ちやすいというメリットもあります。

これは風呂湯の余熱(廃熱)利用にあたり、エコの観点からも非常に素晴らしいことです。

 

災害時の生活用水

これは洗濯とは直接関係ありませんが、風呂に水を溜めておくこと自体のメリットがあります。

地震・停電等の災害で断水が起きた時、風呂に溜まった大量の水はとても重宝します。

飲み水には使えませんけど、トイレの水を流すのに使えますし、それこそ手洗いでの洗濯にも使えます。また、火災時のとっさの水源としても頼りになるものがあります。

洗濯用に残しておいた残り湯が災害からあなたを救ってくれるかもしれません。これは無視できないメリットです。

普通のトイレを1回流すのにはなんと8Lもの水が必要です。冷蔵庫にある飲み水をトイレ用水にするとアッという間に枯渇してしまうでしょう。

風呂には大体150L以上の水がありますから、約20回もトイレを流せる計算になります。風呂の水量は頼りになるのです。

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残り湯洗濯のデメリット

残り湯洗濯には批判もあると言いました。

入浴直後の風呂掃除ができない

当たり前ですけど、風呂掃除ができるのは洗濯が終わってからですよね。
朝方に洗濯機を回す家の場合、風呂掃除できるのが翌日以降になるわけです。

これは筆者の主観なんですけど、入浴直後の風呂掃除ってすごく理に適っている感じがあります。

なんせ自分が裸ですから。服が濡れる心配をせず、心行くまで掃除できるわけです。高いところの掃除もついでにやっちゃおーとかできるんですよね。

子育て中なんかはこの時間効率が結構大きいです。
子どもが寝た後に入浴⇒風呂掃除を通してできるのはスマートですね。

風呂の残り湯で洗濯するのも合理的ですけど、入浴直後に掃除するのもまた合理的。このジレンマのどちらを取るかは、まあ価値観によるでしょうか。

浴室事故のリスク

子育ての現場では「風呂に水をためていてはいけない」と指導されています。

風呂の残り湯で子どもが溺れる可能性があるからです。

「うちの子どもは浴槽に転落なんかしない」と思っていても、子どもの成長は親の想像以上に早いです。

昨日までできなかったことが急にできるようになって浴槽に転落してしまうかもしれません。

子どもは10㎝の水深で溺死してしまいますから、家の中に水が溜まっているのはリスクでしかないのです。

これまた筆者の主観で申し訳ないですが、子育て中の家庭に限っては、節約だのエコだの考えずに風呂湯を捨てるほうがよいと思います。

入浴剤が使いにくい

お風呂に入浴剤を使っている場合、洗濯物に結構なニオイが付きます。

まあ好きで使っている入浴剤なわけですから、ご本人にとって臭くはないと思います。これをデメリットと捉えるかどうかはその人次第…といったところでしょうか。

 

補足:雑菌と湿気の問題はそんなに無い

「残り湯で洗濯するのは汚い」「浴室が湿気で傷む」という意見があったりしますが、これは案外問題ないと思います。

まず、洗濯するときは洗剤を使いますから雑菌などすべて死んでしまいます。そもそもパンツ等を洗っているわけですから、風呂に残った雑菌なんて誤差の範囲なのです。

気になるのであれば“すすぎ”だけ水道水にすれば全く問題ないと思います。

また、浴室が湿気で傷む点については換気扇を回しっぱなしにすれば解決できます。

浴槽のお湯が発する程度の湿気は換気扇で全部飛ばせます。まあ換気扇の電気代を割り引かなきゃいけませんけどね。

まとめ:天秤にかける価値はある

いかがだったでしょうか。残り湯で洗濯することで節約できる金額と、さらにメリットとデメリットをご紹介しました。

筆者の率直な感想としては、年間で数千円という節約効果は意外と大きかったので、残り湯洗濯をする動機は十分あるよなあ、と思いました。

ただ、子どもがいる家庭ではそういうのを度外視して残り湯洗濯は諦めるべきだとも思います。

皆さんのご参考になれば幸いです。