建築一般

事務室の空調の基準とは~職場空調に関する法規や国際基準~

空調暑すぎ寒すぎ

職場が暑い!

そんな不満を抱いたこと、あなたもあるでしょう。
空調の温度が自分に合わないというのはものすごくストレスフルなことですよね。

まず、不適切な温度設定は人間の情緒を著しく不安定にします。
生産性も大きく低下させます。
健康を損ねる場合すらあります。

最近は姫路市の市役所が空調温度の設定を見直したとして話題になっていました。
多くの人が「姫路市長はエライ!」と称賛していました。
結構バズりました。
これはつまり、空調に不満がある人はそれだけ多いということです。

建築設備の仕事をすると分かりますけど、
大きな建物の空調なんて不満だらけです。
これほど技術が発達した現代においても空調周りは不満の巣窟なのです。
これはいったいナゼなのでしょうか。

この記事ではその理由を整理するため、空調周りの基準や法規に目を向けてみたいと思います。

まあとりあえず叫んでおきましょう。

職場の空調はなぜ暑いんだ!!!!!

さあ記事に行きます。

空調に100点満点はありえない

空調に対する不満が絶えないのは、やはり温熱的感覚が非常に主観的なものだからです。

Aさんにとって快適な温度がBさんにとってものすごく不快な温度である。
こういう状態は実際にあるのです。

ですから、空調の設定温度に100点はありません

どんなに気を使っても不快に感じる人が絶対に出るのです。絶対です。もうそういうもんなのです。

施設管理者はその事実に気づいていて、実際のところ、大規模施設での空調は90点を目指して行われています。

PPDという指標で「10%の不満」は容認されている

空調の指標にPPD指数(予測不快者率)というものがあります。

ある部屋の中にいる人たちにアンケートを取ったとき何%の人が不満を示すかを予測する指標です。

人によって異なる空調の感じ方を統計的に解釈しようとするアプローチです。

ISO7730(空調環境の国際標準)では、PPDが10%未満であることを良好な環境であるとしています。

これはつまり、「不快です」という人が10%未満ならば、それは良好な環境だということです。

もっと突っ込んだ言い方をすると、10%の人が「不快」と言ってもどうでもいいのです。
90%の人が満足すればそれは良好な環境なのです。

ISOがそういう基準を定めてしまうくらい、空調への不満は対処にしくいのです。主観的な話だからです。

空調の不満は我慢するしかないのか

結論が出てしまいました。

空調の温度設定が気にくわないときは基本的に我慢するしかないです。

多数決の結果だからです。90点を目指した結果あなたは切り捨てられた。それだけのことです。国際標準もそれでいいと言っています。

ただし、労働環境となると話は別です。

職場の空調環境を規定する法律ってのがありまして、不満があったら事業者に噛み付けるようになっています

具体的に見てみましょう。

空調の設定温度は法律で決まっている

実は職場の空調には法律で決められた基準値があります。

温度 17~28℃
湿度 40~70%

これは事業所衛生基準という法令で明示されていて、事業者はこの基準を守らなくてはいけません。

よって、あなたの職場環境がこの基準から逸脱している場合、多数決の結果に関わらずあなたは文句を言っていいのです。

29℃の事務室で働かされるようなことがあったら改善を要求しましょう。

事業所衛生基準第五条第三項
事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。

健康被害のおそれがあれば数値なんか関係ない

さらにさらに、上の基準よりさらに広い基準が労働安全衛生法で定められています。

労働安全衛生規則第六百六条
事業者は、暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、有害のおそれがあるものについては、冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節の措置を講じなければならない。

これはつまり、健康被害が出そうな環境は空調でなんとかしなきゃアカンぞっていうことです。
あなたが明らかに辛そうなら事業者は空調でなんとかしなきゃアカンわけです。

具体的な数値が出ていないのがミソでして、あなたに健康被害が出そうだと客観的に推定できるような状況なら他の何にも関わらずこの理屈で訴えられます

PPDが10%未満だとしても、温度湿度が基準内だとしても、不満を訴えるのがあなただけだったとしても、健康被害がありそうなら不満を強調していいわけですね。

事業者温度28℃湿度70%だから適法だぞ。他の職員は大丈夫そうだぞ」
あなた「いや、私には暑すぎて健康被害が出そうなので改善してください」

こういうやりとりが肯定されるわけです。

まとめ:やりすぎ注意

いかがだったでしょうか。
法的な基準が結構多くて手厚いなあと感じたことと思います。
職場の空調に関して言えば、労働者の権利は手厚く守られていますので、不満があったら言ってみれば結構通せるものと考えて良さそうです。

しかし、こういう規定があると思ってやり過ぎるのも考えものです。

冒頭に述べた通り、空調の感じ方は人によって違いがありすぎるので、
あなたが不快でも他のみんなは快適、なんて状況が実際にあるのです。

周囲の方が問題なく過ごせているようであれば、強く主張するのは健康被害に繋がりそうな場合のみにとどめ
我慢できそうな範囲では「私はPPD指数の10%なんだ」と思って我慢しておくのが一番平和かもしれません。

空調の感じ方が主観的すぎるものであるため、最後に大事なのはお互いへの気遣いだと言えるでしょう。