この記事はこれから家を考えている方に特に読んでいただきたい記事です。
断熱って重要です。
どのくらい重要かっていうと、その建物の居住性のほとんどを決めてしまうぐらい重要です。
断熱がしっかりしていれば夏も冬も快適ですし、結露も防ぎやすいです。
断熱が疎かだと夏は暑くて冬は寒くて、おまけに結露で家も傷みます。
そんな断熱性について、筆者は「断熱は新築時に自分で勉強せよ」という持論を展開しています。
この記事では、家の断熱を考えるタイミングと、あなた自身が真剣に勉強すべき理由について語ります。
Contents
断熱を新築時に検討すべき2つの理由
家の断熱を考えるタイミングからお話しします。
これはもうズバリ新築時です。
家をこれから建てるとき、家をこれから買うとき、
今!断熱を悩んでください。
その理由は2つあります。
- 断熱は後戻りできない
- リフォームは効率が悪い
順に説明していきます。
断熱は後戻りできない
建築に断熱を施す方法はいろいろあるんですけど、
そのほとんどが「壁の中に何かする」「外壁に何かする」類のものです。
つまり、断熱には壁全体の工事が必要なのです。
断熱は後から簡単に付加できるものではないといえます。
従って、断熱工事は新築時に完成に持って行かないといけません。
向こう40年の断熱性能は家の新築時にほとんど決まるのです。あとから補うのは大変に効率が悪いのです。
だから家づくりのときは断熱に悩んでください。真剣に悩んでください。
窓の断熱化とかは後でも十分可能ですけどね。
1番重要な壁の断熱が後付けしにくいのです。
断熱はリフォームより新築が有利
断熱リフォームなんて言葉があります。聞いたことありますか?
これは既存住宅の断熱性を高めるリフォームのことです。
具体的には、壁の中に断熱材を詰めたり、天井の上に断熱材を敷いたりすることです。
これはこれで効果があっていいんですけど、既に建っているものに少しずつ断熱材を詰めていくわけですから、やはり施工効率が悪いです。
壁を壊したり床を剥がしたりする大掛かりな工事になるので、工事期間中は住まいも制限されるなど、家主の負担も大きいです。
なので、断熱リフォームありきで家を計画するのはダメです。
「断熱リフォームがあるから新築時は断熱を真剣に考えなくてもいいや」という感覚で家を建てるのは間違っていると言えます。
もう一回言いますけど、断熱は新築のときに真剣に悩みましょう。
断熱リフォームに効果がないとは言っていません。
断熱リフォームは住宅の居住性をほぼ確実に向上させます。
古い住宅に住み続けたい場合、やる価値は高いです。
ただ、新築時にしっかり取り組む断熱と比べると効率面でかなり不利というだけです。
断熱を自主的に勉強するべき3つの理由
冒頭でも言いましたけど、筆者は「断熱は自分で勉強して悩むべし」という持論を持っています。
その理由は3つあります。
- 断熱基準が最低限すぎる
- 業者によってレベルが違いすぎる
- 求める断熱レベルが人それぞれである
順に説明しましょう。
断熱基準は最低限レベル→基準任せじゃ勿体ない
建築物には断熱基準断熱基準というものがあります。
断熱材をコレぐらい入れて、気密にはコレぐらい気を付けて、建物の外皮性能を高くしなさいよーっていう基準です。建築物省エネ法で決められています。
そして、今のほとんどの新築住宅は断熱基準を意識して作られています。
つまり、施主が何も言わなくても基準に則った断熱は大体確保されるのです。
どんな業者が家を建ててもこの基準はクリアされるのです。
ですが、
「じゃあ断熱の勉強なんかしなくてもいいんじゃない?」
「業者任せでいいんじゃない?」
という考え方は間違っています。思い切り間違っています。
というのも、この断熱基準は“最低限”のレベルなのです。
そもそも建築物省エネ法は”省エネ”を目的にした法律ですから、断熱基準は省エネに焦点を当てたものになっていて、住人が超快適に暮らせるレベルを目標にはしていないのです。
せっかく新築を建てるのであれば、もう少しレベルの高い断熱を考えることで、より快適で文化的な生活が確保できます。
ただ、断熱基準のレベルが低いのにはもう1つ理由があります。
日本の古い業者が断熱をあまり理解していない事実があるのです。
業者によって施工のレベルが違う→業者選びは慎重に
これはもう声を大にして言いたいので大文字で行きます。
断熱の施工精度って業者によって全ッ然レベルが違います。
大事な部分なので詳しく説明します。
断熱はまだ新しいテーマ
断熱というテーマはここ20~30年で住宅レベルにまで浸透してきました。
断熱基準がルールとして設けられたのは1989年のことです。公庫融資の基準に断熱性能が謳われたのが最初でした。
逆に言うと、それ以前の住宅は無断熱の家が普通でした。
古い家って信じられないぐらい寒いことがありますけど、それは断熱が全く無いからです。
ですから、30年以上前から建築をやってる業者にとって
断熱はまだまだ目新しいことなワケです。断熱は最近始まったテーマなワケです。
真剣な業者と不真面目な業者の差がスゴい
そうなると当然、業者によって技術レベルの差が生まれます。
早いうちから断熱に取り組んでいる業者は技術レベルが高いですし、
あまり真剣に取り組んでいない業者は技術レベルが低いです。
不真面目な業者だと基準に沿った量の断熱材をムリヤリ詰め込んで、ハイおしまいなんてことを平気でやります。
テキトーな施工だと断熱材の性能が十分に出ないんですけど、不真面目な業者はそんなことどうでもいいのです。っていうか断熱って何なのかが分かっていないのです。
2020年には断熱基準が義務化される予定でしたが、さいきん見送りが決定しました。
断熱基準の意味を分かっていない業者が多すぎたからです。
本当に酷いレベルだと引き渡しの時点で床下の断熱材が剥がれ落ちていたなんてこともあります。(新築建売で実際に見ました)
ただ、それでも法律上の基準は満たしてしまうのです。残念ですけど、日本で認められている最低限のレベルってのはそのくらい最低なのです。
自分で勉強する姿勢が大事
っていうわけなので、断熱性のレベルは本当に業者の姿勢次第です。
だから力を入れている業者を選ぶことが非常に大事になります。
非常に大事っていうか、居住性の大部分が業者の断熱への姿勢で決まるってぐらい大事なことです。
じゃあそういう業者をどうやって選ぶのかというと、自分の目で評判などを見て選ぶしかありません。
自分の目で評判を見て判断するには、自分にある程度の知識というか、真剣に取り組む姿勢が求められるわけです。
結局、断熱については自主的に勉強する姿勢が大事なのです。
スーモカウンターとかで「断熱が得意な業者を探しています」と言えば業者を教えてもらうことはできるんですけど、最終的な真贋は自分で判断するしかありません。業者自体が成熟していない世界だからです。(スーモカウンターだって怪しい…)
断熱にはレベルがある→目指すレベルを自分で決めて!
もう1つ大事な理由があります。
自分がどのレベルの断熱性を求めるかをコストと照らして自分なりに判断してほしいのです。
断熱には”目指すレベル”が沢山あります。
断熱レベル最高 | 北欧の冬の気候にも小さいエアコンだけで対応できるような断熱 |
断熱レベル高 | 東北の冬の気候にも〃 |
断熱レベル中 | 関東の冬の気候にも〃 |
断熱レベル低 | 沖縄の冬の気候なら〃 |
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まあこれは大雑把に書きましたけど、断熱にはこういう松竹梅があると思ってください。
基本的には、断熱性は高ければ高いほどいいものです。あなたが沖縄住まいだとしても、断熱性を高くできるなら高くした方が快適に過ごせます。
ただ、それによってコストが上がるのも事実で、断熱性をどこまで追求するかってのは人によって変わってくる部分なのです。
このレベル設定を業者の言いなりにしてしまうと
「こんなに断熱性がなくてもよかったのになあ。総工費が高くついちゃった」とか
「断熱性にお金をかけたつもりなのに、思ったより寒いなあ」とか
そういう不幸な結果に繋がってしまいます。
ですから、求める断熱レベルをイメージしてから家づくりに挑むと幸せになれるよ!というのが筆者の想いなのです。
そのためにはご自身で勉強していただく必要があるんですけど。
まとめ
以上が筆者の主張でした。
断熱は生活に深く関わる重要項目だけど、基準も業者のレベルも微妙だから、
新築するときは自分で勉強して後悔しないように臨んでね!
っていうことです。
筆者としては、自分にとって最高の家を建てる人が1人でも増えてくれればいいなあと思っています。
家を考える時は断熱!よく考えてみてください。
オマケ:断熱の勉強方法
どうやって自分で勉強するのかについて軽くお話しします。
まずは断熱の効果をご自身で体験してみてください。
座学もいいですけど、断熱って難しい用語が多くてイメージしにくい部分があります。
まずは体験してみるのが強いです。
住宅展示場に行くのもいいですし、ハウスメーカー主催の体験会なんかも勉強になります。新築建売の内覧会もいいです。さいきん新築したお知り合いがいれば遊びに行ってもいいでしょう。
実物を体験すると「ああ、たしかに家の中がポカポカしているな。外が冬なのに暖かいな」みたいなレベル感が生まれると思うので、あとはその感覚を業者に伝えられるように工夫してみてください。
なお、ハウスメーカーのレビュー記事を読むのもいいですけど、
断熱の感じ方って主観的な部分が大きいので、個人の感想を真に受けすぎないように気を付けてください。